ヒロシゲvsホクサイ

いよいよ夏本番の暑さになってまいりましたね。どうやらロンドンではオリンピックも始まったようです。


どうも、ジャムです。


今日は前々から気になっていた特撮博物館に行ってまいりました。東京都現代美術館で開かれている催しです。ゴジラやウルトラマンといった特撮が大好きな方はぜひ行ってみてください。


特撮 015



数々の特撮メカや撮影用のスーツ、ジオラマが展示されておりかなりテンションが上がりました。実際に撮影で使われたオキシジェン・デストロイヤーもありましたよ。その他「巨神兵東京に現る」という短編特撮映像も公開されており、ジブリ好きの方も楽しめるかと思います。プロトンビームを発射して街が破壊されるシーンや、ビルが溶けてはじける映像は格好よかったです。


やっぱり特撮は良いものです。確かに見た目のリアルさでいえばCGに軍配が上がるのかもしれませんが、特撮にはCGには無い概念のリアルさがあります。実際にモノが動いたり壊れたりしているという概念のリアルさは、モノを動かさないCGには表現しきれないでしょう。


特撮 001 特撮 002


立体モノが大好きな私は大興奮です。


特撮 004 特撮 011


こうしてミニチュアを眺めているとそれで完成した一つの作品に見えますが、破壊されることを前提に作られたミニチュアなら破壊されて初めて完成を迎えるのです。


そのあたりの不可逆性をもった作品という意味では、音楽の生演奏に通じるものを感じます。


特撮 008


しかし特撮世界において、出るたびに壊される東京タワーは壊れた時の方が美しく見えてきます。


会場限定のカプセルトイは信頼と実績の海洋堂製。


特撮 016 特撮 017


全3種なのですが二つで自重しておきました。


10月8日までやっているそうなので、東京近辺にお住まいの皆様は御都合の良い時に足を運んでみてはいかがでしょうか。


















































































ニコニコ動画で怖い話を垂れ流し、電車の移動中に卯酉東海道ループしていたら秘封病が悪化してしまいました。










































 一定のリズムに揺られてもうどのくらいの時間が経っただろうか。私とメリーは話の種も尽き、自然と無言のまま座っていた。
 新幹線ヒロシゲ。京都―東京間を53分で繋ぐ日本の大動脈。カレイドスクリーンには夜の東海道が滑るように流れていく。広重が見た東海道は、夜になれば当然ビルや街灯の明かりが灯るわけでもなく、月と星とに照らされた木々や山影が微かに見えるだけだ。

 彼岸の墓参り兼旅行を済ませて今は京都への帰り道。私たちは四人がけのボックス席に二人だけで座っている。不思議なことに私たち以外の乗客は見当たらない。

「こうして見ると手つかずの自然ってのも退屈で考えものね。せめて信号機でも映ってくれれば、淡い恋物語でも想像できるのに。」

 そうつぶやいてみる。答えは返ってこないがそれを期待していたわけでもない。再び沈黙が訪れる。点検不足なのか、車両の照明の一部がチカチカと不規則に点滅している。
 不意に言いようのない寂寥感に襲われた。すぐ傍にいるはずのメリーが消えてしまったかのような、スクリーンに映る真っ暗な世界に一人取り残されたかのような。他に誰も乗っていない車両がそう感じさせたのか、あるいは照明の点滅に同調して心が不安定になったのか。普段感じたことの無い感情だった。まるでカムパネルラが消えてしまった時のジョバンニみたいに…。

「メリー、私たち一緒に行こうねえ。」

 そう言ってみて、メリーの方に顔を向ける。今までメリーが座っていた席にはもうメリーの形は見えず、ただがらんどうのボックス席が並んだ空間だけが広がっていた。

「メリー?メリー?」

 たまたま変な気分になっていたものだから変な冗談は止してほしかった。

「…私の負けよ。びっくりしたからもう出てきて頂戴。メリー、メリーってば!」

 がらんどうの車両に私の声だけが飛んで消えていく。さっきから続く不安が大きくなる。心臓の音が聞こえる。冷たい汗が背中をつたう。照明の点滅が激しくなる。

「メリー…。メリー、メリー。メリー!!!」

「蓮子!」

 はっと我に返る。懐かしい声が聞こえた。いつも聞いていた声。振り返るとメリーはそこにいた。
私は駅のホームのベンチに座っている。その後ろにメリーがペットボトルを手に立っていた。

「大丈夫?うなされてたみたいだけど?」

 そう言いながら私の隣に座るメリー。はい、とペットボトル入りのそば茶を手渡してくる。自動販売機に飲み物を買いに行っていただけのようだ。

「あ?ああ、ありがとう。何だかちょっと疲れたみたい。」

 大きくため息をつきながらペットボトルを受け取る。全身じっとりと汗ばんでいる。どうやら彼岸の墓参りと東京見物の後、帰りの新幹線を待ちながらうたた寝してしまったらしい。まだ脈が速いままだ。
 冷えたそば茶を一気に流し込む。冷たい液体が体にしみわたる。五臓六腑にしみわたるとはこういうことを言うのだろうか。私はもう一度大きく息を吐いた。
 メリーは隣で涼しげな笑みを浮かべている。柔らかな金髪に白い肌、何だか掴みどころが無くて吹けば飛んで消えてしまうかのような儚さを感じさせながら、優しく包み込むような温かさで今までずっと傍にいてくれた。

 鼓動も落ち着いてきたところで機械的なベルが鳴り響く。ヒロシゲがホームにゆっくりと滑りこんでくる。これに乗れば後は京都まで53分。今回の旅行もいよいよ終わりである。

「ほら、ちょうど来たわよ。良かったわね、寝過さなくて。」

 そう笑いながらメリーは立ち上がって車両に向かう。
 さっきまで夢で見ていた車両に思わず躊躇するが、所詮さっき見たのは夢だ。現実とは違う。そう自分に言い聞かせながら私も腰を上げる。心なしかまた脈が上がる。

「どうしたの?早くしないとドアが閉まっちゃうわよ。」

 振り向きざまにそう言うメリー。
 はて?夢と現、人間と胡蝶との区別ができないと大昔に言っていたのは誰だったか?
 夢の中で感じた不安が再び胸の中に広がっていく。どうして自分はこんな気持ちになっているのだろう?どうしてこんなに心臓の音がうるさいのだろう?どうして開かれたヒロシゲのドアの向こうは真っ暗なのだろう?どうしてメリーの笑顔がこんなに冷たく感じるのだろう?どうして?どうして?どうして?どうして?
 
「ほら、早く。」

 そう言って私の手首を握ったメリーの手はペットボトルのお茶よりも冷たかった。メリーの手はこんなにも白かっただろうか?手を引かれるがままにヒロシゲのドアに向かう。こんなに不安なのにメリーに掴まれると抵抗できなくなる。大丈夫、二人でいろんな場所に行ったしいろんな事をしてきた。これからだって二人なら何でも出来る。仮にこのヒロシゲの向かう先が冥界だとしても、二人なら。二人なら。二人なら。そう、自分に言い聞かせる。

「そう、二人なら。」

「蓮子ー、どこに行ったのー?」

 背後から懐かしい声が聞こえる。いつも聞いていた声。優しく温かい声。目の前で手を握っているメリーは相変わらず自分にほほ笑みかけている。冷たい笑み。その目には瞳が無く、ただ真っ暗ながらんどうが広がっていた。掴まれた手からどんどん体温が奪われていく。体が言うことをきかない。そう言えばさっき、このメリーからもらったお茶を飲んでしまった。あの世の食べ物を口にすると戻れなくなるのは有名な話なのに。

「蓮子、蓮子!ヒロシゲが来ちゃうわよ!蓮子ってば!」

 背後からは温かいメリーの声が続いている。柔らかな声。ずっと聞いていたい声。もう二度と聞くとができない声。涙が溢れてくる。

「ごめんなさいメリー。私、帰れそうにない。」

 はたしてこちらの声は向こうのメリーに届いているのだろうか?せめて最後に一言だけでも言葉を交わしておきたかった。
 目の前のメリー、否、メリーの形をした何かに引かれるままに暗い車両に足を踏み入れる。発車のベルが鳴り響く。

 車両に引きこまれる直前、一瞬だけ見えたホクサイの文字。私が乗ろうとしていたのはヒロシゲだったはず。背後から聞こえるメリーの声もだんだん遠くなっていく。ドアが閉まる音。広がる静寂。何も見えない真っ暗な闇の中、ああ、カムパネルラは自分の方だったのかと、そんなことを考えた。

 









 最近の東京でまことしやかに語られている都市伝説、『新幹線ホクサイ』。
 曰く、彼岸の時期にだけ駅のホームに現れる。曰く、乗ったものをこの世ともあの世ともつかない狂気の世界へと連れていく。曰く、新幹線に選ばれた広重に対する北斎の嫉妬と恨みが、その車両を走らせている。
 そんな嘘と真との境目に流れる噂話。ここ数年、彼岸の時期には駅のホームで必ず行方不明者がでているのだという。









卯酉東海道の後日談で怖い話をやろうと思って書いてみたけど怖いかな?蓮子が宮沢賢治好きだったり出てくる飲み物がそば茶だったりするのは個人的な趣味です。


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恋煩い以外は治してくれるお湯

両腕が脱皮しはじめました(日焼け的な意味で)。どうやら関東も梅雨明けしたそうですね。


どうも、ジャムです。


金曜日頃から気温が一気に下がって過ごしやすかったのですが、明日からまた暑くなるようですね。


実は先週の秘封倶楽部のあとちょろっと群馬に行って温泉に浸かってきました。何気なく買った温泉入浴剤で温泉欲が高まっていたので秘封倶楽部で高まったテンションをそのまま利用して日帰りで行ってきたのです。


まずは鬼押出しから。


草津 039 草津 040 草津 045


浅間山の噴火で流れ出した溶岩なのだそうな。天気も良くて何とも良い景色でしたが、スカイタワーに行った時の両腕が焼けるように痛かったです。


その後は江戸時代の温泉番付で最高位の東の大関(当時横綱は存在していませんでした)に格付けされた草津温泉へ、行くと見せかけてちょっと足をのばして湯釜という場所へ。


白根山の火口湖です。


草津 066 草津 056


ビアンキのチェレステのような色でした。自然の中でこんな色が存在するとはと驚きました。


そんなこんなでようやく草津へ。あまりゆっくりはできなせんでしたが、とりあえず湯畑。


草津 090 草津 099


硫黄の匂いが立ち込めてまさに温泉街といった風情でした。


さて、草津には西の河原露天風呂という巨大な露天風呂があるとのことで、せっかくなのでそこに浸かってきました。


草津 108


流石に温泉の中は写真に撮れませんでしたが、プールのような広さでした。この温泉がある西の河原公園には川のように温泉が流れている場所でまさに源泉垂れ流しです。


こんな風に日帰りで、温泉だけにしておけばよいものをちょろっと観光も混ぜたのでなかなかの強行軍でしたが楽しかったですよ。やはり夏はこうでなければ。























































































私の私による私のための妄想。









































「はーい!こちらスタート地点でーす。参加者の皆さんは車の最後の調整を行っています。」

 文は実況にリポートにと大忙しである。各チームが最後の打ち合わせや調整を行っている中、参加者の紹介をしていく。後ろからは椛が追いかける。その肩には河城重工謹製映像転写装置が担がれている。この装置に取り込まれた風景が、会場に設置された河城重工謹製大型画像投影機に映し出される仕組みである。
 
 「まずはエントリーナンバー一番!毎度お馴染みの紅白巫女、博麗霊夢選手!」

 文は、やはり河城重工謹製の音声拡張機を手に各ドライバーにインタビューを行っていく。やはりというか何というか参加していた楽園の巫女。車も見事な紅白である。

「そりゃ参加するでしょ、あの人を小馬鹿にしたというか見下したような目つきと角度で、『え~、霊夢さんは参加しないんですか~?残念だな~、私、霊夢さんなら絶対優勝争いできると思ってたのに~。あ、でも不参加ならライバルが減ってむしろラッキーみたいな?まあ仮に参加しても結局は私が勝つんですけどね?きゃは!』とか言われたら誰だって許せないでしょ!?」

 どうやら早苗に煽りに煽られての参加ということらしい。のっけから不機嫌オーラ漂う霊夢。そんなオーラをものともしない文がにとりに話題を振る。

「それでは今回の技術解説、にとりさん。車の説明をお願いします。」

 彼女のこういうところは本当に報道者向きなのだろう。にとりもステージに設置された画像投影機に映し出された映像を見つつコメントを入れていく。


「霊夢の車は一言でいえば安定性、信頼性重視の車だね。開発にあたった河童達が震えていたよ。もし車が足を引っ張るようなことがあれば今までに食べたきゅうりの数だけ夢想封印ぶち込むって言われてさ。」

 にとりはやれやれとため息をつく。成程、万が一車のトラブルでもあろうものならその命はタンポポの綿毛の如く散らされるのだ。そんな霊夢の車は全車中一番の信頼性を備えているという。

「続いてはエントリーナンバー二番!こちらもお馴染み、白黒魔法使い、霧雨魔理沙選手!」

 もはや霊夢いるところにこの人ありということか。黒地に白いラインの入った車を伴って、こちらもやはりの参加である。

「信仰とかそんなものはどうでも良いけど、速さを競う祭りとあればこの私が出ない手は
無いだろう。レースはパワーってことを証明してやるぜ。」

 魔理沙は霊夢とは対照的にノリノリである。

「魔理沙の車はそのまんまパワー重視の直線番長だね。加速性能と最高速度に特化した車さ。」

 にとりが解説を入れていく。

「エントリーナンバー三番!ある意味今回の主役か?東風谷早苗選手!」

 名前を呼ばれて愛想よく周りに手を振る早苗。白地に青と緑のカラーが実に爽やかである。

「皆さんの応援と信仰のおかげで今日この舞台に立つことができました。優勝して信仰の素晴らしさをもっともっとたくさんの人に広めていきたいです!」

 品行方正を絵にかいたような笑顔でカメラに挨拶をする早苗。霊夢に見せた顔とは全く別の布教モードである。

「早苗の車はサスペンションを中心とした足回りに特に力を入れたようだね。外の世界と違って道が舗装されていないからとか言ってたけど、外の世界ってそんなにまっ平らな道ばかりなのかい?」

 にとりの言うとおり、幻想郷ではその道の殆どは坂道かけもの道である。外の世界から来た早苗もそこを考慮して河童達に指示を出していたようだ。

「エントリーナンバー四番!紅魔館の主、レミリア・スカーレット選手!」

「ククク、愚かな人間と妖怪達。皆が舞い上がる様を眺めているのも一興かと思ったけれど、この辺で私の力を教えておいてあげるのも強者の慈悲というものよね。」

 深紅の車。その小さな体に似合わぬ程のカリスマを漂わせる吸血鬼。

「そう言えば、レミリアさんは日光を浴びても大丈夫なんでしたっけ?」

 誰もが思っていたであろう疑問を文がぶつける。

「ククク、無知な貴女に教えてあげるわ。優秀な主のもとには優秀な人材が集まるもの。紅魔館には那由他の知識を持つ魔女がいるわ。彼女なら日光を無力化する秘薬の一つや二つ、いつでも作れるのよ。」

 そう、レミリアはパチュリーの作りだした日焼け止めクリームにより日光を克服していたのであった。

「レミリアの車はまさに河童達の技術の限界に挑んだ車だね。私たちだけじゃなくてパチュリーも開発に加わっていろんな技術が盛り込まれているよ。カタログスペックだけなら間違いなく最強の車さ。」

 そのカリスマは伊達ではなかった。にとりの解説通り、彼女の車は加速性能、旋回性能、最高速度共に高次元でまとめられたハイスペックマシンである。

「さあどんどん行きましょう。続いてエントリーナンバー五番!白玉楼からの参加は半人半霊の庭師、魂魄妖夢選手です!」

 白銀色の車体に淡い緑のグラデーションが美しい。気品を感じさせる車に対し、ドライバーの妖夢はやや緊張気味である。

「ぬ、抜けぬ車など、あんまみ!?あんまり無い!すすみません噛みました!」

「あらら、妖夢ったらだいぶ緊張してるね。彼女の車はコーナリングマシン、ステアリングの切れは抜群さ。あ、でも幽々子が最後の方で何かいじっていたような。」
 
 どうやらにとりも知らないところで幽々子が何か仕込んでいるらしい。

「エントリーナンバー六番!これは意外な参加です。スキマ妖怪、八雲紫選手!」

「八雲紫、17歳です♡」

 映像転写装置に向かってにっこりほほ笑む幻想郷きっての大妖怪。流石の文も数秒動きが止まる。

「あ、そのネタ外の世界でもありましたよ!クラスのアニメ好きで有名なヨシオ君がうわらば!」

 早苗が何か言いかけたがスキマから伸びた手で水月を突かれ沈黙する。
 
「えーと、にとりさん。紫選手の車はどのような特徴があるのでしょうか?」

 文が何事もなかったかのようににとりに話題を振る。

「それが何というか、うーん。」

 にとりが言い淀む。

「掴みどころが無いというか、あえて言えば特徴が無いのが特徴というか、正直彼女程の知識があればもっとすごい車も作れたはずなんだけど…。」

「あらあら、そんな無粋なことはしないわよ。あくまでもこちら側の世界の技術だけで作らないとフェアじゃないし、私としてもそんな大人げないことは趣味じゃないわ。」

 紫はあらあらうふふと胡散臭い笑みを浮かべている。文もそれ以上突っ込みは入れない。

「それではどんどん行きましょう。続いてエントリーナンバー七番。永遠亭からこの方、鈴仙・優曇華院・イナバ選手です!」

「え!?私、選手なんですか?聞いてないんですけど!?」

 文に音声拡張機を向けられて慌てふためく鈴仙。

「あやややや、選手名簿にはちゃんと名前が載っていますけど?」

「だって今日私は祭りの医療班として師匠に言われて派遣されてきただけで…。」

 実は永琳による「事前の薬物療法による外傷の軽減または回復に関する研究」の実験台にされていることを、鈴仙はまだ知らない。訳も分からずおろおろしている鈴仙をそのままにして文がインタビューを進める。

「最後はエントリーナンバー八番。人間の里からまさかの参戦!稗田家九代目当主、稗田阿求選手です!」

 文のコールに会場がどっと盛り上がる。人間の里代表ということで人間からの応援があるのは当たり前ではあるが、当たり前以上の盛り上がり方であった。よく見ると会場の一角には「あっきゅん愛してる♡」の横断幕が掲げられ、阿求応援団ともいえる集団が押し寄せていた。

「これは大きな声援ですね。実は私も貴女が参加したことには驚いているんですよ。」

 文にそう言われ音声拡張機を向けられた阿求はにこりとほほ笑む。

「自分でもちょっとびっくりしていますよ。幻想郷初の祭りとあれば私が記録しないわけにはいきませんから。」

「しかし、なにも自ら参加しなくてもよいのでは?」

 文は心配そうに言った。稗田家が人間の里にとどまらず幻想郷においても特別な家系であることは彼女も十分承知である。万が一のことがあってはという懸念は尤ものことであった。

「最初は見ているだけと思っていたんですが、百見は一験に如かずですよって早苗さんに言われまして。彼女のキラキラした笑顔を見ていたら本当にそんな気にさせられてしまって…。」

 荒事に向かない阿求を参加に駆り立てたのは早苗であった。だとすればこれも小さな奇跡ということか。

「あっきゅーん!マジ愛してるうぅぅうう!!!」

 ひと際大きな声援?が響く。会場の阿求応援団。その先頭には古道具屋の店主、森近霖之助が阿求の名の刺繍が入った鉢巻を絞め、汗や唾液やその他もろもろのパッションを撒き散らしていた。

「どうやら熱烈なファンが来てくれているようですね…。」

 霖之助のパッションにやや引きながらもインタビューを続ける文。

「ええ、人間の里代表ということで沢山の方が応援に来てくれました。でも野良犬が私を呼び止めることはあってもアレにだけは呼んでほしくはありませんね。」

 穏やかなほほ笑みを崩さずに阿求は霖之助に拒絶の言葉を投げる。目は、笑っていない。

「怒ったあっきゅんもマジかわうぃいいいい!!」

「あっきゅんって呼ばないでください。名前が穢れるので。」

「やべぇ!あっきゅんマジあっきゅん!!」

 へこたれない霖之助とあくまでもほほ笑みは崩さない阿求。すでにここでは別のバトルが始まっていた。

(外の世界にもいたなあ、ああいうの。馬鹿にする人もいたけどアイドルってえらかったんだなあ…。)

 阿求と霖之助のバトルを横目に早苗は妙な感傷に浸っていた。そんな早苗にも外の世界では隠れファンクラブが存在していたことを彼女は知らない。

 「よくぞ集まってくれた!さあ、皆の勇気をこの私に見せておくれ!!」

 神奈子が立ち上がり改めて祭りの開始を告げる。選手たちも意気揚々と、あるいは緊張した面持ちで、あるいは戸惑いながら、それぞれの思いを抱きつつ車に体を預ける。
 会場が、里が、幻想郷が、いよいよレースのスタートを待つだけとなった。





まさか続くとは…。そしてなかなかレースがはじまらぬえ。

秘封倶楽部

腕が焼けるようだ…。


どうも、ジャムです。


日中ノーガードで自転車に乗ると腕が大変なことになりますので、皆様はぜひ日焼け止めを使ってくださいね。そんなわけで昨日から今日にかけて夏を満喫してまいりました。


まずは昨日の午前中。今、東京でホットなスポットであるところのスカイタワーに行ってまいりました。スカイツリー?何それおいしいの?


東京は西東京市にそびえ立つスカイタワーは、田無タワーの愛称で地域住民から親しまれている電波塔です。残念ながら展望台は無いのですが、それでもその姿は地域のシンボルとして今日も西東京市の大地にそびえ立っています。


タワーに登ることはできないのですが、その根元には多摩六都科学館という施設があり、こちらもまた家族連れなどから愛されている施設です。今回はこの多摩六都科学館の目玉であるプラネタリウムを見るために自宅から自転車でタワーを目指したのです。


朝十時半開始のプラネタリウムに間に合わせるため朝八時過ぎに自宅を出発。途中よみうりランドのある丘を越える必要がありますがそれ以外は割と平坦な道で、一時間ちょいといった時間でたどり着けました。


高さ195メートルを誇るその雄姿は、田無駅付近まで来ても周りのビルに隠されてしまい中々拝むことができません。そんなじらしテクニックを持つスカイタワーに皆様もぜひ足を運んでみてください。


秘封倶楽部 008


ほら、見えてきましたよ。


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無事到着です。すぐ根元に今回の目的である多摩六都科学館があります。


秘封倶楽部 012


この丸い建物、通称サイエンスエッグの中にプラネタリウムは存在しているのです。ここのプラネタリウムはそのドーム直径が27.5メートルを誇り世界でも最大級のプラネタリウムとして知られています。さらにドームが傾斜しており座席からも全天を見渡しやすい新設設計です。


会館時間の少し前に到着したのですが、日曜だったせいか入口には行列ができていました。この人気は本物ですね!


入場してからプラネタリウム会場に行ってみるとこちらも行列が。流石は目玉施設だけあって、上映十五分前までにかなりの長さの行列になっていました。


プラネタリウムを見たのは何年ぶりだったでしょうか。東京の空では見ることのできない天の川銀河や暗い星までくっきりと映し出された時は思わずカムパネルラー!と叫びそうになりました。


真っ暗なドームに映し出された星空は通常の遠近感を失わせ独特の浮遊感を提供してくれます。いやー、プラネタリウムって本当に良いものですね!


さて、午前中はこのように科学館で科学に浸っていたのですが、実は出発する直前に東方の同人界で活躍されている菊壱モンジさん主催のリアル秘封倶楽部活動に参加させていただくことが決まっていたので後ろ髪を引かれる思いで一時帰宅したのでした。


今回のリアル秘封倶楽部は蓮子やメリーのように実際にミステリースポット探訪してみようという企画です。今回は東京都のミステリースポット、八王子城跡がターゲットです。


八王子城跡。それは戦国時代に関東の軍事的拠点として存在していた山城です。小田原城と共に北条氏が本拠としていましたが、豊臣秀吉が天下統一のために行った小田原征伐の際攻め落とされています。


このとき豊臣軍一万五千人に対し八王子城内には約三千人しかおらず、しかも城主以下主力は小田原城への加勢で出払っておりそのほとんどが非戦闘員だったといわれています。


そんなわけで一日のうちに落とされた八王子城ですが、死体を晒されるくらいならと滝に身を投げたり自刃した人もかなりの数いたようで、滝は三日三晩赤く血に染まったといいます。


そんなわけで八王子城は東京でも屈指のミステリー、心霊スポットとなっているのです。そして今回はその八王子城にアタックを仕掛けようという計画でした。昼と夜の境界、魔に出会うとされる逢魔時、さらに完全に日が暮れてからの隙を生じぬ二段構えです。


さらに菊壱さんが準備したお守りがそれぞれ一つづつ配られます。抜かりは無い。


まずは逢魔時アタック。最近は日が長いのでこの時間でも明るく地元住人も散歩などをたのしんでおられました。実際に明るければ緑豊かな自然公園といった趣で、森林浴のような感覚でしたね。


秘封倶楽部 017 秘封倶楽部 018


今回は私を含めて四人パーティー。みんな自然に癒されながらのアタックでした。そんなこんなでよく出ると評判の曳橋、御主殿跡、血で染まったといわれる御主殿の滝まではサクッと踏破。


秘封倶楽部 025 秘封倶楽部 045 秘封倶楽部 030


いたるところにあったマムシ注意の看板の方が怖いというくらい不思議なことは起こらず本当にピクニック気分です。木々のざわめきや流水の音で身も心も洗われるようでした。


さて、この他出ると噂のスポットは本丸跡とそこに隣接する八王子神社です。こちらもサクッと踏破、と行きたいところでしたが、滝などと比べて距離があることと結構な山道のせいで難儀しました。そうこうしているうちに日も沈み辺りもどんどん暗くなっていくという肝試し譚お約束の展開に。


八合目までは何とか登ったもののメンバーの体調不良によりそこで二人ずつのパーティーに分け、私はアタック班として頂上を目指しました。懐中電灯で足元を照らしながらの道のりでしたが、途中視界が開けた場所から綺麗な夜景を拝めました。


秘封倶楽部 055


こんな景色を見たら、ピアノ弾けなくてよいから空が飛べるようになりたいと本気で思います。


もはやホラーとかミステリーとかの次元ではなく、純粋な山登りとして歩みを進めます。そうしてようやく辿り着いたとき、胸に溢れたのは恐怖心ではなく達成感でした。神社と本丸跡は山の中腹と違い風がよく通り火照った体を心地よく冷やしてくれます。


秘封倶楽部 059


神社には賽銭箱が見当たらなかったのですが、とりあえずお参りはしておきました。すっかりと日も暮れて真っ暗な夜の中吹く風や木々のざわめきは、確かに天狗などがいてもおかしくないと思わせるものでした。また、静寂の中ときどき響く木々の軋みは風か動物か、やはり妖怪の類か。自分の中の想像世界がどんどん広がる素敵空間でした。


そうして残った二人とも合流し無事下山。懐中電灯で照らしだされた部分のみがこの世界の全てだといわれても納得できるほどの夜の暗さでした。この不思議な感覚嫌いじゃないです。


このころは時間も八時を回っていました。時間と運動のせいでみな空腹を抱えていたので高尾駅そばの煉瓦屋という揚げ物の店で夕飯をいただきました。付け合わせの豆腐にのった鰹節やみそ汁の油揚げなど、細かいところまで美味なよいお店でした。


燃料も補給したところでいよいよ第二アタックとなったわけですが、ここで菊壱さんは後衛にまわり皆の帰る場所を守るという任務につきました。実は菊壱さんが撮った写真で一枚不自然なモヤのかかった写真があったのです。


そんなわけで三人態勢でアタック開始。ただし本丸跡方面は本格的な山道であること、完全に夜となったことから物理的危険が高いと判断しアタックは行わず、滝へと向かうことになりました。全く明りがない森の中を懐中電灯の身を頼りとして進むのですが、ここまで暗いとカメラも役に立ちません。


しかし、道そのものは険しいものではないためやはりサクッと到着。夜な夜な聞こえるという人の声も聞こえず水音と虫の声だけが世界を満たします。この感じが実家に似ていて個人的にはかなり和みモードに入っていました。きっと頭の中はリラックス成分で満たされていたことでしょう。


そんなわけで今回は特に不思議な体験ができたわけでもありませんが、夜の本来の暗さやそこに潜む人ならざるものの気配は存分に堪能できました。誘ってくださった菊壱さん本当にありがとうございました。今回の件で私も秘封病を発症してしまったようです。次の機会もぜひ参加したいものです。


しかし霊感がないと心霊写真も撮れないものなのでしょうか。


試験もなんにも無い!

温泉入浴剤のせいで温泉行きたい欲がとどまるところを知りません。


どうも、ジャムです。


世界樹の迷宮Ⅳ買いました。3DSですが3Dでプレイしたことがありません。ホーム画面で試してみて目が痛くなったのでやりません。体質によっては問題なくできるものなんでしょうか。


それはそうと世界樹ですが、パーティ編成はダンサー×2、フォートレス、メディック、スナイパーです。ダンサーが二人いるあたりに趣味が出ています。補助系いいね。


正直なところダンサーを二人にするかフォートレスを二人にするか迷いました。要は倒すより倒されないキャラと補助系キャラが好きなんですよ。いっそ前衛フォートレス、後衛ダンサーのみで固めても面白かったかもしれませんね。


閑話休題。


世界樹の迷宮を買いに行った際とても素敵なものを見つけてついお持ち帰りしてしまいました。


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リボルテック鬼太郎です!


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たまりません。表情豊かで実に良いです。しかし二次元の表現を崩すことなく三次元に変換するってものすごいですね。ちなみにリボルテック鬼太郎シリーズは今後、目玉おやじ、ねずみ男と続くようです。わくわくしますね。



























































妄想の準備が整いました。










































 人間の里。妖怪が跋扈し霊長といわれる人間が昼間でも捕食されるという危険が付きまとう幻想郷、その中にあって唯一、人間がのびのびと日の光を浴びながら食事や買い物を楽しめる場所である。もっとも妖怪による被害が全く無いわけではないものの、日常生活の中で気にする程ではない。
 大通りには飲食店や雑貨屋、呉服屋、酒屋が軒を連ね、その他陶物売りや自分の畑で採れた野菜を売る人の露店や屋台が並び、客を呼ぶ声や値切り交渉、ただの世間話などで実に賑やかである。中には人間に害のない妖怪も紛れていたりするが、害が無いのであればここの人間達は大して気にしない。モノもヒトもまさに玉石混淆という言葉がぴったりの場所である。
 
 そんな賑やかな大通りが今日はひと際大きな賑わいを見せていた。人も屋台もいつもの倍以上。いくらこの里が幻想郷内の人間の安住の地とはいえ、いつもの賑わいを提供している人々の数以上のいつもひきこもっている人々がいるとは思えない。が、よくよく見れば妖怪妖精、人ならざるモノ達がかなり紛れている。成程これだとこの賑わいっぷりにも納得がいく。
 しかし今度は、人間に害の無い妖怪がこれだけの数いただろうかという疑問が湧いてくる。加えて誰もその疑問に頓着していない、というより気付いてすらいない様子だ。どう転んでもこの賑わいには日常では説明のつかない疑問が付きまとう。それがどういうことなのか。日常ではありえない事がさも当然のごとくありえている。少し考えれば答えは簡単、つまり今日はハレ。祭りの日なのである。たとえ同じ場所であっても、ケの日常とは切り離された異空間。ここに存在する有象無象は皆その空間を極上の美酒として酔っているのだ。
 
 けたたましい喧騒をさらにけたたましい爆竹の音が切り裂いた。一瞬の静寂を挟んでやはりけたたましい声が今日の祭りの名を告げる。

「第一回!げんそーきょー!オンバシラサーイ!オンバシラーグランプリー!!」

 騒霊達のけたたましい音楽が鳴り響く。声の主は幻想ブン屋、射命丸文である。彼女の開催宣言に合わせて街の喧騒も一段と大きさを増す。

「いやー、ついに始まりましたね!お聞きくださいこの歓声を、ご覧くださいこの人だかりを!まるで人がgゲフンゲフン。失礼しました。」

 勢い余ってむせこむ文。街の一画に作られた特設会場、その中のステージ上でマイクを持って騒ぎ立てている。彼女の隣には最近外の世界から神社ごと引っ越してきたという神、八坂神奈子が座っている。
 そう、今日の祭りは彼女の祭り。千年を超える歴史を誇る由緒ある祭り、御柱祭である。

「では改めて紹介しましょう、今回の祭りの主催、山坂と湖の権化、八坂神奈子様です!」

 湧きおこる歓声に軽く手をあげてこたえる神奈子。

「そして今回この祭りの実況であり公式記者でもある私、清く正しい射命丸!射命丸文でございます!」

 わーぱちぱちぱちと自分で拍手する文。
 いくら千年を超える歴史を持つとはいってもそれは外の世界での話である。ここ幻想郷で初めての開催を迎える御柱祭が最初からこれだけの盛り上がりを見せているのは、実は文の力によるところが大きい。
 開催にあたって神奈子は新聞記者である文を神社に呼んだ。祭りの開催の前に出来るだけ宣伝をし、ブームを作りだすためだ。神奈子は文に今回の祭りの広報活動を押し付けたのだ。
 しかし文にとっても悪い話ではなかった。今まで幻想郷で行われたことのない祭り、その一部始終を記録し報道できるチャンスである。ブン屋としてこれ以上ないネタである。こうして文は広報活動を一手に引き受ける代わりに、祭りの公式記者としての地位を得たのであった。
 
 祭りの噂はそれこそ疾風の如き速さで幻想郷中を駆け巡った。彼女の巧みな宣伝に、人妖問わず皆が未だ見たことのない祭りに思いをはせ、その開催を心待ちにした。その結果が今日のこの盛り上がりである。彼女自身、自らの仕事に今まで感じたことが無い程の手ごたえを感じていた。

「しかし、本当によく集まってくれたね。」

 驚きと嬉しさの入り混じった表情で神奈子が言う。

「いやいや、これもひとえに神奈子様の御神徳あってのことですよー。私としてもこれ程の祭りの公式記者を務めさせていただけるなんて、恐悦至極でございます!」

「うむ、しかしお前も良くやってくれた。この後の司会もよろしく頼んだよ。」

「任せてください!それではさっそくですが今回のお祭りについて簡単に説明していただけますか?」

 ステージで神と天狗の掛け合いが続く。

「ああ。いきなりだが今回行うのは、実は祭りのほんの一部でね。柱を社殿まで運ぶ里曳きと呼ばれる部分だけなんだ。」

「さとひき?」

「簡単にいえば、あらかじめ用意しておいた神木となる柱を社殿まで運ぶ行事だな。」

「ほうほう、確か氏子が魔法や妖術に頼らずに人力で柱を運ぶんですよね?」

「その通り。人力のみで行うという行動そのものが神々への信仰につながるのさ。」

 そういって神奈子は手にした枡を口に運ぶ。いつの時代もどこの国でも神に酒はつきものである。

「成程。しかし今回はどうやら趣向が異なるようですね。」

 文はそういってこれから曳かれていく柱が並んだ場所に目をやる。視線の先には柱と参加者だけではなく、大勢の河童達とけたたましい爆音を響かせる機械仕掛けの乗り物が並んでいた。

「えー、今回はアレで柱を曳いていくわけですか?」

 文の言葉通り、柱はそれぞれ乗り物の後端に縄で結びつけられていた。人力のみで運ぶという御柱祭の常識からすればありえない光景であった。

「そう、内燃機関と歯車の結晶、自動車さ。本来なら御法度だね。ただしそれは外の世界での話だ。人妖入り乱れるこちらでは人力も何も無いだろう?」

 確かに神奈子の言う通りであった。幻想郷に来てからの守矢神社への信仰は人間だけでなく妖怪達にも広がっているのである。たとえ魔法、妖術を使わなかったとしても、力ある妖怪にとって柱の一本や二本、茶碗や鍋のようなものである。難なく運んでしまうだろう。

「人と妖怪が等しく同じ土俵で争えるための方法さ。」

「成程、アレは人間にとっては妖怪に対抗するための武器に、妖怪にとっては人間を相手にするための足枷になるわけですね。」

「その通り。さらに今回はそれだけではない。自動車を使って柱を曳く、その速さを競ってもらう。」

「速さを競う…。つまり競争、レースということですか?」

 文が首をかしげながら尋ねる。

「そう!各々が自分の自動車を運転し、柱を曳きながら我が守矢神社に至る速さを競う。」

「なるほど!確かにただ柱を曳くよりもその方が盛り上がりますね!」

 文の言うとおり、今日集まった観衆はその競い合いこそを楽しみにしているのであった。里曳きをレース仕立てにした方が受けると踏んだ早苗の考えは見事に的中したのだ。

「それにしても全部で八台ですか。この幻想郷であんなものよく集めましたね。」

 文の言葉はもっともであった。外の世界と違い通常人間は徒歩か、せいぜい馬や牛の引く荷車で移動している。八台であってもここ幻想郷では大量といえる数であった。

「それは私だけの力じゃあないよ。河童よ。今回の働き、大義であった。」

 そう言って神奈子はステージの文とは反対側に座っていた河城にとりに酒をすすめる。

「わわっ、ありがとうございます!」

 急に、しかも神から酒をすすめられ驚くにとり。そう、今回の自動車を作製したのは他でもない、にとりをはじめとする河童達であった。実は今回の祭りを始めるうえで、神奈子は文の他ににとりにも協力を依頼していたのだ。

「どうだった?自動車作製の感想は。」

「はい、一技術者としてとても素晴らしい体験ができましたよ。エントリー者一人につき数人ずつ付けてそれぞれに車の開発をやったんです。チームごとに異なるコンセプトで作ったから我々河童もどの車が勝つのか楽しみですね。」

 それぞれがチームごとに車を開発し競わせることで河童社会全体の技術の発展と底上げにつながる。にとり達河童にとっても、今回の祭りは良い機会であったのだ。

「成程、それぞれの車の違い、楽しみですね。それではさっそくスタート地点に行ってみましょう。」

 そう言って、正確にはそう言い終わらないうちに、文は一陣の風となってスタート地点に向かって飛んでいった。実況からリポートまで大忙しである。文が飛んで行った先のスタート地点では、我こそは勝利者たらんと意気込む参加者と、その気持ちを代弁するかのようなエンジン音を響かせる自動車とが、スタートの合図を待っていた。






まさかの前回からの続き!慣れていないからでしょうか。ピアノ弾くより疲れますね。自分でも読み返せていません。

第4回東方ニコ童祭

7月です。祝日のない6月をなんとか生き延びました。


どうも、ジャムです。


ニコニコ動画で第4回東方ニコ童祭なるものが盛り上がっているようですね。今までその名前だけは聞いたことがありましたが、具体的に何なのか知らずに生きてきました。


なんでも、一定期間中に東方関連の動画を投稿してみんなで盛り上がりましょうといった趣向のようです。私も東方曲をピアノで弾いたりしている身ですから、それを知って参加してみたいなあと思ったのですが、知ったのが6月28日。その時点で動画にするようなネタがあるわけでもなし、諦めようかなと思いました。


諦めんなよ!!


と心の中で声がしましたので頑張ってみました。





そんなこんなでニコ童祭初参加です。『信仰は儚き人間の為に』のアレンジです。前回が綺麗な早苗さんだったので今回ははっちゃけた早苗さんをイメージしました。無事参加したことになっているか不安ですが。


土曜日の午後に閃いて今まで練習していました。間違いなく一番準備期間が短かった動画です。そんなわけで色々とやらかしてはいますが、それもお祭りの熱狂、泡沫の夢の如きものだと思ってください。


結構前にこのブログに書いた妄想、東方グランプリを発展させてみました。御柱祭でレースやろうぜ的なことを早苗が言い出すといった内容です。そんな物語のオープニングテーマをイメージしています。


以下はそんな私の妄想の産物です。興味がない方は読まなくても構いません。





































「御柱祭をやりましょう!」
 
 突然襖を踏み倒し五穀豊穣ライスシャワーを撒き散らしながら居間に飛び込んできた早苗の大声(と弾幕)が神奈子と諏訪子の平和な午後に終止符を打った。
 
 居間にいたのが二柱の神だったから良かったものの、これが静寂を好む某喘息持ちの魔法使いであれば発作を起こし呼吸困難で永琳のお世話になっていたことだろう。
 しかし流石に神とはいえ、弛みきった午後のひとときに不意討ちをかけられればまったくの無事とはいかなかった。まだ半分も飲んでいなかった神奈子の蕎麦茶は、その芳ばしい香りを堪能される間もなく急須ごと畳にぶちまけられた。付け加えておくと、その時彼女の口から吹き出された蕎麦茶は彼女の神力により恵みの雨となり人里の田畑を潤したという。
 一方諏訪子はといえば、早苗が踏み抜いた襖の下敷きとなり力なく痙攣していた。

「それで?一体どうしたね?いきなり御柱祭をやろうだなんて」

 流石は戦神として信仰されていただけのことはある。神奈子は落ち着きを取り戻し急須に新しい蕎麦茶を入れながら何事もなかったかのように早苗に聞いた。

「どうもこうもありません!最近のウチへの参拝客の少なさは目を覆うばかりです。これじゃいつウチが第二の博麗神社になってもおかしくありません!」

 まあそんなことだろうと思っていたのか、神奈子は蕎麦茶をすすりながら鼻で笑う。

「またそれかい?外の世界とは違うんだ。こっちじゃ氏子もまだ少ないし、積み上げた歴史だってありゃしない。ぼちぼちやっていけばいいだろう?」

「なに勝手に枯れてるんですか!?そんなこと言ってるから集まる信仰も集まらないんですよ!御柱が割り箸になってもいいんですか!?」

 神に面と向かってここまで言えるのは、彼女が厳密には巫女ではなく現人神であり神奈子や諏訪子と同じく神としての一面も持っているからなのか、それとも単に彼女の性格なのか、文字通り神のみぞ知るところである。神奈子も早苗のこういった物言いには慣れているのか意に介した様子はない。

「まあ早苗の言う通り御柱祭をやったとしてだ。そう都合よく信仰が集まるとは思えんぞ。何しろこっちは日常から妖精妖怪が跋扈している世界だ。柱を落としたり曳いたりするくらいじゃ誰も何とも思わんだろうさ。」

「それですそこなんです私が言いたいのは!つまりですね、幻想郷に来たのなら幻想郷に合った御柱祭をすれば良いってことですよ。」

 目からビームでも出るかと思うほど瞳を輝かせながら早苗は身を乗りだす。

「幻想郷に合った御柱祭?」

 元来新しいもの好きの神奈子である。早苗の言う幻想郷に合った御柱祭というものに早くも興味をもったようだ。

「そうです。そもそも幻想郷の住人はお花見や宴会のような機会には飢えているんです。お祭りをやればみんな大喜びで参加しますよ。」

「しかしただの御柱祭だと刺激が足りずに信仰獲得までには至らない。そこでこっちの住人も熱狂出来るような新しいアイディアを考えた、ということだね?」

 早苗はムフーと不敵な笑みで肯定しつつ袖の下から一冊のノートを取り出した。表紙には女の子らしい丸文字ででかでかと『幻想郷御柱グランプリ(ケロリもあるよ♡)』と書かれていた。

「ほう、里曳きをレース仕立てにしようってことかい。」

「その通り!やっぱりお囃子にあわせて柱を曳くだけだと盛り上がりに欠けます。そこで柱一本ずつをチームに振り分けて、その曳く速さを競わせるのです。今世界が求めているのは競争ですバトルです!最初はギャグ漫画だったのにいつの間にかバトル物になっていたなんてこともたくさんあったじゃないですか!」

「なるほど、それは血が騒ぐね。我こそは里一番の勇気と信心を持つ勇者だと名乗りを上げさせ競わせる。」

「見事一番になった者には特別なご利益がって触れ込みで宣伝すればみんな参加するに決まってます!」

「まあ、景品はともかくそういう競い合いが好きな連中はここには多いからな。参加者はそれなりに集まるだろうし、イベントとして盛り上がれば信仰にも結び付く。良いだろう!委細任せる。その祭り、うまく取り仕切って見せるが良い!」

 パンと膝を打ちながら神奈子はそう言った。しかし早苗はふるふると首を横に振る。

「何を言っているんですか神奈子様!祭りを取り仕切るのは神奈子様の役目です!」

「あん?すると早苗は何をするっていうんだい?」

 首を傾げる神奈子に向かって早苗はビシィっと親指を立てる。

「もちろん、参加者としてレースに出て優勝するに決まっているじゃないですか!」

「決まってるんだ…。」

 レースに出るまでは良いとしても、優勝してしまうのはいかがなものか。八百長を疑われるだろうし、第一身内でない参加者に勝たせて華を持たせなければ盛り上がらないだろう。しかし早苗は自らが優勝することは当然を通り越して必然だと言わんばかりに胸を張る。

 「甘いですよ神奈子様!いつからスイーツ(笑)になったんですか?ほら、漫画でもよくある話ですよ、夕陽に染まる河原で互いの拳をぶつけ合い絆を深める!それと同じです!私たちも競い合うことで参加者との絆を深めるのです。しかし最後に勝つのは我ら守矢、参加者は皆、私たちの強さに感服してひれ伏し信仰することでしょう!」

 もはや早苗が日ごろため込んだストレスを発散したいだけなのではないかと疑いたくもなる内容ではあったが、戦神としての一面も持つ神奈子である。競い合いというものは彼女自身好きであったし、何より日ごろの退屈にも飽きてきていたところである。

「まあ良いだろう。やってみるとしよう。」

 そう言って早苗の提案を受け入れたのであった。
 その時である。突然早苗に踏み倒されていた襖がひとりでに飛び上がったかと思ったら大声でどなり散らしたのだ。

「おいコラ早苗!人を踏みつけておいて勝手に盛り上がってんじゃないよ!神奈子も!さっきまで一緒にくつろいでいた相手が会話に入ってこないことに気付け!二人とも私がど根性に目覚めてもいいっていうのかい!?」

 正確にいえば、襖が勝手に飛び上がったのではなく、その襖の下敷きとなっていた諏訪子が襖をはねのけ怒号をあげたのであった。

「なに、あの程度アンタにとっては涼風にも等しいものだろう?それに早苗の提案は気に入った。アンタもいっちょ協力しな。」

「諏訪子様、これは信仰を得るチャンスですよ。この祭りを成功させた暁には幻想郷中に分社を建てられます。」

 神奈子も早苗も半ば襖に張り付いてしまっている諏訪子のことなど心配するそぶりも見せない。

「うるさいうるさい!そんな面倒なことしてまた紅白巫女に退治されたいのかい!?いいんだよ普通で、今までだってそれなりにやってこれただろう!」

 諏訪子は踏みつけられ気にもされなかったことでご立腹である。早苗の提案にも真っ向から反対する。

「霊夢さんなら参加者の一人として取り込めばいいんですよ。私たちが幻想郷に君臨するのが納得できないのなら、レースに勝って阻止すればいいじゃないって焚きつければ一発ですよ。」

 早苗は体を妙な角度に傾けながらしたり顔で諏訪子に言った。この娘は現代っ子ながらなかなかの不屈っぷりである。以前こっぴどくこらしめられたことをちっとも気にしていない。

「あーもう!とにかく私は反対!反対だからな!絶対協力なんてしないぞ!!」

 諏訪子は早苗の提案の内容というよりも踏みつけられ無視されたことでだだをこねるといった様相である。

「それは困ります。今回諏訪子様にはレースクイーンをやってもらう予定ですので嫌でも協力してもらいますよ。ほら、そのノートにも書いてあるでしょう?」

 確かに先ほど早苗が取り出したノートにはケロリもあるよと書かれていた。

「誰がケロだ誰が!大体何だその態度は!それが神にものを頼もうっていう態度かい!?」

 諏訪子の怒りはここにきて頂点に達した。彼女の周りにはどす黒いオーラが漂い、祟り神として恐れられた当時を彷彿とさせる禍々しい気を放っていた。

「もう仕方ないですね。諏訪子様、あんまり駄々をこねるといけませんよ?めっ!」

「!?」

 コールタールのようなどす黒いオーラも全く意に介さず早苗は諏訪子の額をトスッと指でつつく。すると瞬時にどす黒いオーラも嘘のように消え失せ、諏訪子はその顔に穏やかなアルカイックスマイルを浮かべていた。

「ワァイ、オンバシラレース!スワコオンバシラレースダイスキ!」

抑揚のない声で同じ言葉を繰り返す諏訪子。

「ほう、ただの一突きでああなった諏訪子を鎮めるとは。早苗、アンタの奇跡にもだいぶ磨きがかかってきたようだね。」

「これでも毎日修行しているんですよ。」

 えっへんと胸を張る早苗。わが子の成長っぷりに目を細めるような表情の神奈子。アルカイックスマイルを浮かべつつ、その特徴的な帽子の瞳からはほろほろと涙をこぼす諏訪子。

「ワァイ、オンバシラレース!スワコオンバシラレースダイスキ!」

 壊れたテープレコーダーのように繰り返す諏訪子。帽子の涙は彼女の最後の抵抗の表れであろう。かくして、幻想郷で初となる御柱祭、第1回幻想郷御柱グランプリ、その計画が動き出したのであった。






日本語が話せればSSなんて書けるだろうと甘く見ていましたが、その考えは音が聞こえるんだからピアノ弾けるだろうというのと同じくらい無謀な考えだと思い知りました。誤字脱字は許してください。今回の妄想の素となった妄想が気になる方はこちら
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ジャジャム・ジャム

Author:ジャジャム・ジャム
ニコニコ動画でピアノなんぞ弾いております。

あまとう!

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