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ジャムジャム王国(仮)

気まぐれにつらつらと

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ヒロシゲvsホクサイ

いよいよ夏本番の暑さになってまいりましたね。どうやらロンドンではオリンピックも始まったようです。


どうも、ジャムです。


今日は前々から気になっていた特撮博物館に行ってまいりました。東京都現代美術館で開かれている催しです。ゴジラやウルトラマンといった特撮が大好きな方はぜひ行ってみてください。


特撮 015



数々の特撮メカや撮影用のスーツ、ジオラマが展示されておりかなりテンションが上がりました。実際に撮影で使われたオキシジェン・デストロイヤーもありましたよ。その他「巨神兵東京に現る」という短編特撮映像も公開されており、ジブリ好きの方も楽しめるかと思います。プロトンビームを発射して街が破壊されるシーンや、ビルが溶けてはじける映像は格好よかったです。


やっぱり特撮は良いものです。確かに見た目のリアルさでいえばCGに軍配が上がるのかもしれませんが、特撮にはCGには無い概念のリアルさがあります。実際にモノが動いたり壊れたりしているという概念のリアルさは、モノを動かさないCGには表現しきれないでしょう。


特撮 001 特撮 002


立体モノが大好きな私は大興奮です。


特撮 004 特撮 011


こうしてミニチュアを眺めているとそれで完成した一つの作品に見えますが、破壊されることを前提に作られたミニチュアなら破壊されて初めて完成を迎えるのです。


そのあたりの不可逆性をもった作品という意味では、音楽の生演奏に通じるものを感じます。


特撮 008


しかし特撮世界において、出るたびに壊される東京タワーは壊れた時の方が美しく見えてきます。


会場限定のカプセルトイは信頼と実績の海洋堂製。


特撮 016 特撮 017


全3種なのですが二つで自重しておきました。


10月8日までやっているそうなので、東京近辺にお住まいの皆様は御都合の良い時に足を運んでみてはいかがでしょうか。


















































































ニコニコ動画で怖い話を垂れ流し、電車の移動中に卯酉東海道ループしていたら秘封病が悪化してしまいました。










































 一定のリズムに揺られてもうどのくらいの時間が経っただろうか。私とメリーは話の種も尽き、自然と無言のまま座っていた。
 新幹線ヒロシゲ。京都―東京間を53分で繋ぐ日本の大動脈。カレイドスクリーンには夜の東海道が滑るように流れていく。広重が見た東海道は、夜になれば当然ビルや街灯の明かりが灯るわけでもなく、月と星とに照らされた木々や山影が微かに見えるだけだ。

 彼岸の墓参り兼旅行を済ませて今は京都への帰り道。私たちは四人がけのボックス席に二人だけで座っている。不思議なことに私たち以外の乗客は見当たらない。

「こうして見ると手つかずの自然ってのも退屈で考えものね。せめて信号機でも映ってくれれば、淡い恋物語でも想像できるのに。」

 そうつぶやいてみる。答えは返ってこないがそれを期待していたわけでもない。再び沈黙が訪れる。点検不足なのか、車両の照明の一部がチカチカと不規則に点滅している。
 不意に言いようのない寂寥感に襲われた。すぐ傍にいるはずのメリーが消えてしまったかのような、スクリーンに映る真っ暗な世界に一人取り残されたかのような。他に誰も乗っていない車両がそう感じさせたのか、あるいは照明の点滅に同調して心が不安定になったのか。普段感じたことの無い感情だった。まるでカムパネルラが消えてしまった時のジョバンニみたいに…。

「メリー、私たち一緒に行こうねえ。」

 そう言ってみて、メリーの方に顔を向ける。今までメリーが座っていた席にはもうメリーの形は見えず、ただがらんどうのボックス席が並んだ空間だけが広がっていた。

「メリー?メリー?」

 たまたま変な気分になっていたものだから変な冗談は止してほしかった。

「…私の負けよ。びっくりしたからもう出てきて頂戴。メリー、メリーってば!」

 がらんどうの車両に私の声だけが飛んで消えていく。さっきから続く不安が大きくなる。心臓の音が聞こえる。冷たい汗が背中をつたう。照明の点滅が激しくなる。

「メリー…。メリー、メリー。メリー!!!」

「蓮子!」

 はっと我に返る。懐かしい声が聞こえた。いつも聞いていた声。振り返るとメリーはそこにいた。
私は駅のホームのベンチに座っている。その後ろにメリーがペットボトルを手に立っていた。

「大丈夫?うなされてたみたいだけど?」

 そう言いながら私の隣に座るメリー。はい、とペットボトル入りのそば茶を手渡してくる。自動販売機に飲み物を買いに行っていただけのようだ。

「あ?ああ、ありがとう。何だかちょっと疲れたみたい。」

 大きくため息をつきながらペットボトルを受け取る。全身じっとりと汗ばんでいる。どうやら彼岸の墓参りと東京見物の後、帰りの新幹線を待ちながらうたた寝してしまったらしい。まだ脈が速いままだ。
 冷えたそば茶を一気に流し込む。冷たい液体が体にしみわたる。五臓六腑にしみわたるとはこういうことを言うのだろうか。私はもう一度大きく息を吐いた。
 メリーは隣で涼しげな笑みを浮かべている。柔らかな金髪に白い肌、何だか掴みどころが無くて吹けば飛んで消えてしまうかのような儚さを感じさせながら、優しく包み込むような温かさで今までずっと傍にいてくれた。

 鼓動も落ち着いてきたところで機械的なベルが鳴り響く。ヒロシゲがホームにゆっくりと滑りこんでくる。これに乗れば後は京都まで53分。今回の旅行もいよいよ終わりである。

「ほら、ちょうど来たわよ。良かったわね、寝過さなくて。」

 そう笑いながらメリーは立ち上がって車両に向かう。
 さっきまで夢で見ていた車両に思わず躊躇するが、所詮さっき見たのは夢だ。現実とは違う。そう自分に言い聞かせながら私も腰を上げる。心なしかまた脈が上がる。

「どうしたの?早くしないとドアが閉まっちゃうわよ。」

 振り向きざまにそう言うメリー。
 はて?夢と現、人間と胡蝶との区別ができないと大昔に言っていたのは誰だったか?
 夢の中で感じた不安が再び胸の中に広がっていく。どうして自分はこんな気持ちになっているのだろう?どうしてこんなに心臓の音がうるさいのだろう?どうして開かれたヒロシゲのドアの向こうは真っ暗なのだろう?どうしてメリーの笑顔がこんなに冷たく感じるのだろう?どうして?どうして?どうして?どうして?
 
「ほら、早く。」

 そう言って私の手首を握ったメリーの手はペットボトルのお茶よりも冷たかった。メリーの手はこんなにも白かっただろうか?手を引かれるがままにヒロシゲのドアに向かう。こんなに不安なのにメリーに掴まれると抵抗できなくなる。大丈夫、二人でいろんな場所に行ったしいろんな事をしてきた。これからだって二人なら何でも出来る。仮にこのヒロシゲの向かう先が冥界だとしても、二人なら。二人なら。二人なら。そう、自分に言い聞かせる。

「そう、二人なら。」

「蓮子ー、どこに行ったのー?」

 背後から懐かしい声が聞こえる。いつも聞いていた声。優しく温かい声。目の前で手を握っているメリーは相変わらず自分にほほ笑みかけている。冷たい笑み。その目には瞳が無く、ただ真っ暗ながらんどうが広がっていた。掴まれた手からどんどん体温が奪われていく。体が言うことをきかない。そう言えばさっき、このメリーからもらったお茶を飲んでしまった。あの世の食べ物を口にすると戻れなくなるのは有名な話なのに。

「蓮子、蓮子!ヒロシゲが来ちゃうわよ!蓮子ってば!」

 背後からは温かいメリーの声が続いている。柔らかな声。ずっと聞いていたい声。もう二度と聞くとができない声。涙が溢れてくる。

「ごめんなさいメリー。私、帰れそうにない。」

 はたしてこちらの声は向こうのメリーに届いているのだろうか?せめて最後に一言だけでも言葉を交わしておきたかった。
 目の前のメリー、否、メリーの形をした何かに引かれるままに暗い車両に足を踏み入れる。発車のベルが鳴り響く。

 車両に引きこまれる直前、一瞬だけ見えたホクサイの文字。私が乗ろうとしていたのはヒロシゲだったはず。背後から聞こえるメリーの声もだんだん遠くなっていく。ドアが閉まる音。広がる静寂。何も見えない真っ暗な闇の中、ああ、カムパネルラは自分の方だったのかと、そんなことを考えた。

 









 最近の東京でまことしやかに語られている都市伝説、『新幹線ホクサイ』。
 曰く、彼岸の時期にだけ駅のホームに現れる。曰く、乗ったものをこの世ともあの世ともつかない狂気の世界へと連れていく。曰く、新幹線に選ばれた広重に対する北斎の嫉妬と恨みが、その車両を走らせている。
 そんな嘘と真との境目に流れる噂話。ここ数年、彼岸の時期には駅のホームで必ず行方不明者がでているのだという。









卯酉東海道の後日談で怖い話をやろうと思って書いてみたけど怖いかな?蓮子が宮沢賢治好きだったり出てくる飲み物がそば茶だったりするのは個人的な趣味です。


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*Comment

No title 

特撮博物館とは興奮しますね!
ゴジラが大好きだったのですが、町を破壊していく夢をみてに本気で恐怖してしまい、涙目で飛び起きた日を思い出しましたw
それも遍に特撮世界の完成度故だったのでしょうね。

まさかの展開に身の毛がよだつようです。
蓮子視点での恐怖演出が克明で、読み終えた後の焦燥感でSAN値がヤバイです。
死後の世界等を妄想するのは割と好きですが、怖い話が苦手な自分です、はい。夏ですね・・・。
  • Kyou 
  • URL 
  • 2012年07月29日 22時21分 
  • [編集]

No title 

おおホラー!久しくホラーものは読んでいなかったので、なんだか懐かしく感じてしまいましたw
それにしても完成度が高い!設定のアレンジが上手で、〆もきれいですね~。
やはりジャムさんにはこちらの才能も……!
  • はぐれ物書き 
  • URL 
  • 2012年07月29日 23時58分 
  • [編集]

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